上記写真では判りにくいのですが右側Aでは色が薄いピンク系の扁平で大きなコロニーがいくつか見られます。その中にいくつか典型的な大腸菌のコロニーが散在しています。(円い、赤い、中心部が厚い)
 これらから扁平なコロニーは別種の菌と考えられるが、これも大腸菌群とするか?
■参考
薄いピンクのコロニー
デソキシコレート培地に発育したセラチア属菌
Proteus mirabilis のスウォーミングを停めたい!!!

■参考2


大腸菌群用

デスオキシコーレイト寒天培地(顆粒)

由来

 本培地は、アメリカでは食品の細菌検査用培地として’Standard Methods for the Examination of Daily Products’1)にとりあげられ、わが国でも食品衛生検査指針2)および上水試験方法3)に掲載され、乳および乳製品、水などの大腸菌群の検査にその使用がすすめられている。
 また、厚生省<内用液及びX線造影剤の菌数の限度及び試験法>に収載されている。

組成培地1,000mLあたり

ペプトン 10g クエン酸鉄アンモニウム 2.0g
乳糖 10g 中性紅 0.033g
デスオキシコール酸
ナトリウム
1.0g カンテン 15.0g
塩化ナトリウム 5.0g pH7.3±0.2
リン酸2カリウム 2.0g

機構および特徴

 本培地は、胆汁酸塩を用いた培地の最も基本的なもので、胆汁酸塩としてデスオキシコール酸ナトリウムを使用し、大腸菌(Escherichia coli)を含め、腸内細菌(Enterobacteriaceae)の発育には原則としてまったく影響しないが、グラム陽性菌の発育が著しく抑制される。大腸菌群が発育した際には、その乳糖分解によって生ずる酸は、デスオキシコール酸ナトリウムから不溶性のデスオキシコール酸を析出させ、デスオキシコール酸は同時に酸性で赤変した中性紅と強く結合して大腸菌群の集落を著しく混濁赤変させる。中性紅自身は菌に対してやや毒性を持つが、その作用はクエン酸鉄によって中和され、本培地における使用量ではまったく無害である。Proteus は遊走(swarming)が抑制されて孤立集落をつくる。
 なお、食品中のココア末の検査では特殊な現象を認めることがあるので、ココア末の大腸菌群検査には浮島5)らの文献を参照のこと。

使用目的

  1. 水および食品の大腸菌群検査
  2. 臨床材料からの腸内細菌の分離
  3. 内用液剤およびX線造影剤の大腸菌群分離