インフォラータ
毎年4月末に、盛大に行われる「インフィオラータこうべ」。道いっぱいに敷きつめられた花絵の美しさは多くの話題を集めました。その三宮東会場の舞台となったのが、「あじさい通り」です。JR三ノ宮駅の東側、雲井通5,6丁目と旭通5丁目に挟まれた延長約160mの「あじさい通り」の名前は、おそらく「インフィオラータこうべ」が開催されるまではあまり市民に知られていなかったことでしょう。
しかし、この「あじさい通り」を含む東西の道路は意外に古い歴史をもっています。明治維新以前、人々が徒歩による交通に頼っていた時代には「西国街道」として、京・大坂と中国・九州などの西国を結ぶ大動脈としての役割を担っていました。ですから行き交う旅人や大名行列などがこの通りを利用していたのです。東から延びてきた街道はそのまま西へ向かい、生田筋を浜側に下りて、芦屋で分かれたもう一本の街道「浜街道」と合流して、三宮神社前から今の元町商店街を通っていました。
このころは「あじさい通り」周辺もただの農村に過ぎませんでしたが、明治になり神戸が都市化するにつれて、この辺りにも家が立ち並ぶようになりました。戦後は、雲井通6丁目や旭通4丁目に建設された国際マーケットを中心とした卸商店街としてにぎやかになり、「駅東問屋街」と呼ばれていたとのことです。
しかし、その後この地域は駅から至近距離にありながら町並みが終戦直後のままで、衰退の一途をたどってきました。そこで昭和50年から再開発が行われることになり、昭和56年にサンパルビル、平成2年にサンシティビルが完成したのです。そして現在、地元ではこのインフィオラータを契機として「あじさい通り」を「神戸一」美しい「美緑花ストリート」にしようと、積極的にまちづくりに取り組もうとしています。
古くからの歴史を持ち、さまざまな環境に置かれてきた「あじさい通り」ですが、多くの人たちに親しまれる「美緑花ストリート」として生まれ変わろうとしています。
文 中央区役所提供