歓喜寺

 野崎通5丁目のバス停から山麓リボンの道の道標に従って北へ歩いて行き、かなり急な坂道を上りきったところの住宅地の中に、歓喜寺というお寺があります。
 歓喜寺は明治30(1897)年、若林鉄心によって建てられた曹洞宗の寺院で、山号を秋葉山といいます。本尊は十一面観音像で、頭上に十一の顔をいだいています。この十一面観音像は一木造りといって、一本の木から作られており、大正3(1914)年に国の重要文化財に指定されています。作られたのは藤原時代で、元は周防国(現在の山口県)岩国の領主の念持仏であったと伝えられています。なお、この像は秘仏で一般には公開されていません。 

 また、境内には阪神・淡路大震災で犠牲になった人たちのための慰霊碑「慕心」が建てられています。この碑は、震災の三回忌にあたる平成9年1月に作られました。「慕心」とは、亡くなった人々を慕う心という意味で、犠牲者の慰霊と復興への決意が込められています。この碑は今日も神戸のまちを見守っています。

写真・文 中央区役所提供