ヴィッセル神戸

 神戸をホームタウンとするJリーグチームとして活躍している「ヴィッセル神戸」。そのクラブ事務所が、ここ中央区琴ノ緒町にあります。ヴィッセルの誕生は、まだ記憶に新しいですが、実は、神戸とサッカーは歴史上、深いつながりを持っています。

  神戸は開港後、西欧の文化や生活様式をいち早く学び、さまざまな物事の日本発祥の地となりましたが、サッカーもその1つでした。明治3年、居留地に住む外国人はKRAC(神戸レガッタアンドアスレチッククラブ)を結成し、フットボールなどの競技を楽しみました。明治21年には、横浜のクラブYCACとの初の対抗試合があり、当時すでに本物のサッカーが行われていたことが記録されています。

  開放的だったKRACのグラウンド(現在の東遊園地)には、多くの市民が見物に訪れ、サッカーは神戸に根づいていきました。大正から昭和初期にかけて、御影師範学校や神戸一中など神戸勢が、日本のサッカー界の覇者となった時代もありました。近年には一クラブである神戸FCが市民レベルでの草の根サッカーの振興に取り組み、神戸にプロチームを生む土壌となりました。

  このような歴史を背景に誕生した「ヴィッセル神戸」は、今、小学生を対象にした「親子サッカー入門教室」や「市内中学校の部活動指導」など、「地域に密着したスポーツクラブ」としての活動を始めています。指導には、昨年まで現役選手だった和田・石末コーチらがあたり、本格的なプレーを直伝しています。「サッカーのすそ野が広がり、神戸のレベル向上に役立つことができればうれしい。」「これからは、まちの一員として地域と交流していきたい」と両コーチ。  2002年には「FIFAワールドカップサッカー大会」が神戸でも開催されます。ヴィッセルのこうした地域活動が実って、神戸から世界で活躍する選手が育っていくといいですね。 

写真・文 中央区役所提供